文章のための日記

文章を書きます。

物語とはなにか

 

 物語の意味について。自分が中学生のころから定期的に読んでいる村上春樹氏は「小説を自己治療的に書いている」ということを言っていた。自分のなかにあるなにかを物語として書き出すことは、自分の意識の表層にのぼることのない(あるいはまだのぼっていない)それを対象化する試みだ。その対象化されたものは自分の一部であり、完璧に真実である。どんなにくだらないものができたとしても、それは自分以外のものから発生したものではない。それを読むことは、まるでイスラーム世界を経て中世ヨーロッパに蘇ったギリシア哲学のように、隠れたものの再発見である。

 

結論:物語は、それがどのようなものであれ、自己の発見へと自分を導く。

 

言葉にするとかなり陳腐なものだが、実感が伴うとそれこそ再発見と言うべき貴重な体験になるな。